オリンパス事件とは

1. オリンパス事件とは,何か?
 オリンパス事件は,財テクと言われる本業以外における証券,先物,株式,デリバティブ等の金融商品の評価による損失が発生したのに,資産の財産評価の目減りしたことを会社の決算書において隠していた事件である。本件の特徴は飛ばしを始めたのが1997年頃からと言われ、山一証券社長の号泣会見が世間をにぎわしたのと同時期からスタートし、1000億円もの財テ ク失敗の損失を15年も隠し通せたという点と、疑惑を究明しようとした外国人社長を満場一致で解任したが外国メディア報道に抗しきれず粉飾を自白するに至ったという点の2点にある。いずれもが日本式会社経営の負の一面をよく表しているといえるからである。
 以下,事実経過と上場廃止の審査,刑事事件及び民事事件の進行を整理します。
2. 事実経過
(1)損失の発生とその隠しの経過・虚偽有価証券報告書の提出
第1期 財テクによる損失隠しは帳簿の操作による時期
この財テクによる損失隠しは,当初,債権,証券等の財産を取得価格による資産計上すればよいとの会計処理により,決算帳簿上に明記されなかった。損失の評価は,各金融商品の価値回復により,時価の回復を期待してきた。
第2期 「飛ばし」の方法による損失の隠匿した時期
ところが,1999年1月「金融商品に係る会計基準に関する意見書」公表により,時価評価による会計処理をすることになった。そこで,オリンパスは,1990年代に,隠していた金融商品の損失を「飛ばし」の手法により,会計帳簿外に出して,金融商品の損失を隠した虚偽の有価証券報告書等を提出していた。
第3期 会社のM&Aにより損失の消滅を目指した時期
金融商品の損失を名目上解消するために「会社のM&A」を利用し解消を試みて,虚偽の有価証券報告書を提出していた。
(2)損失隠しの発覚の経過
ところが,2011年4月,マイケル・ウッドフォードが社長に就任した後,7月FACTA8月号の記事から疑問を持ち,10月3日以降調査を開始し,同月11日,中間報告書により疑問を提示した。これに対し,10月14日,菊川剛会長が,取締役会において,マイケル・ウッドフォードを代表取締役社長から解任決議をした。マイケル・ウッドフォードは,イギリスのフィナンシャルタイムズにM&Aの疑問と社長解任の経過をインタビュー記事にした。これにより,株価の下落となった。ところが,同社の高山修一社長が,2011年11月8日,決算書類を真実と異なり粉飾した虚偽有価証券報告書等であることを公表したことから,オリンパスの株価が下落した。この結果,株主が損失を受けた事件である。
3. 東京証券取引所の上場審査・廃止問題
(1)監理銘柄の指定
オリンパスは,2011年11月9日から監理銘柄に指定した
(2)特設注意市場銘柄の指定
東京証券取引所は,2012年1月20日監理銘柄の解除し,上場廃止としないことを決定した。同年1月21日から特設注意市場銘柄に指定した。
4. 刑事事件の進行
(1)事実経過
2011年12月21日,東京地検特捜部,警視庁,証券取引等監視委員会は不正経理を理由に一斉捜索を実施した。
2012年2月16日,菊川剛,山田秀雄,森久志及びコンサルタント等の7名を逮捕した。
2012年3月7~9頃,起訴の予定
(2)このようなオリンパスの粉飾決算による虚偽の有価証券報告書の提出による株価の形成行為は,「市場における詐欺事件」であり,株式市場の公正さに対する信頼を損なう犯罪である。この犯罪の当事者のオリンパス及び担当役員等が厳罰に処せられるべきである。
5.民事事件の進行
(1)各取締役・監査役の責任追及
 ア,調査委員会の調査報告書3通
  2011年12月6日 第3者委員会
  2012年1月7日  取締役会責任調査委員会
  2012年1月16日 監査役等責任調査委員会
 イ,訴訟の提起(会社による)
  1.1月8日頃,オリンパスが,取締役・監査役等19名を被告とし,合計36億円での損害賠償請求訴訟を提起した。
  2.1月17日頃,オリンパスが,現監査役及び旧監査役5名を提訴した。(約10億円)
 ウ,オンブズマン訴訟
  大阪のグループが提訴し,菊川剛ら14名の元取締役及び監査役ら14名を被告とし、請求金額13億4413円する。
(2)株主の責任追及(株式取得者に対する責任)
 オリンパスの市場の株式価格を信頼し,同社の株式を購入した株主は,オリンパスの粉飾決算による虚偽の有価証券報告書を提出したことの発覚による株価暴落により,損害を受けている。 この事実から,虚偽の有価証券報告書に基づいて,株式を取得した株主は,オリンパスの会社及び役員等の関係者に対し,商取法21条の2または,不法行為(民法709条)に基づいて損害賠償請求できる。
6.当弁護団の立場
 われわれの弁護士の大多数は,同様の法理論の虚偽の有価証券報告書の問題となった,ライブドア株主被害事件,IHI株主被害事件及びFOI株主被害事件を経験している。このような経験を踏まえて,オリンパスに対する訴訟を提起し勝訴判決により,違法な虚偽の有価証券報告書の提出による株価の形成行為を抑止したいと考えている。